大きなサイズのユーディアライトです。
5cm近い大きさがあり60カラット以上あります。
ルビーのように赤い部分が多く
その中でもラメのような虹のような
光に反射して赤くキラキラと輝く成分が全体に入っていて
とっても華やかです。
紫のバラのようなシックな輝きと
ゴシック調の赤と黒のコントラスト。
モザイクのような結晶もヨーロッパ風でゴージャスです。
カットは卵型ですが完全な卵型にはなっていません。
厚みはバランスよくカットされています。
よく見ると表面に微細な研磨剤の跡のような緑色が
結晶の隙間に見えるのですが
ユーディアライトのデザインが派手なので
紛れてしまってほとんどわかりません。
ユーディアライトの赤い輝きの中に
時折虹色の瞬きも見える美しいルースです。
鉱物名___Eudlialyte
サイズ___47X25×6mm
重さ____61ct./12g
石の処理__ナチュラル
原産地___ロシア
ユーディアライトはスカンジナビアのロシア側にある、ラップランド地方のコラ半島で産出され、この地の原住民の間では「戦いによって流された血」という伝承があるそうです。そんな伝承を聞くと、こちらのユーディアライトの赤も大地に流された血のように見えてくるから不思議です。
ユーディアライト(Eudialyte)のeuは、ギリシャ語で溶けやすいという意味で、実際ユーディアライトは変質しやすく、乾燥が激しかったり環境がよくない所で保管されていると、劣化が早いようです。
コラ半島はオーロラが観測される地方です。北極圏に近いエリアで発見される鉱物には、比較的新しいものが多く、新しい時代のメッセージを携えて私たちの元へやって来るのではないでしょうか。
ユーディアライトの伝説は、兵士が流した血というなんとも痛ましいものです。実際ユーディアライトには過去のトラウマを再起させるような作用があり、ユーディアライトが変容を意味するのはその変質しやすい鉱物の性質とともに、持ち主に過去の痛みを洗い流し変容を促すためだと思われます。
寒いロシアの石であるユーディアライトは冬の季節によく似合う石です。寒ければ寒いほどより一層その赤い輝きが増すように見えるのはなぜでしょうか。まるで永久凍土の黒土に埋もれるかのようにバラのような真紅の輝きと葉のようなグリーンが見えます。冷たい大地に散った赤いバラのような面影がある石です。
底冷えするような寒さの中でユーディアライトは忍耐強い女性のような芯の強さとその美しさを見せます。東北の震災では東北の人たちの我慢強さ、忍耐強さに多くの人が感銘を受けましたが、ユーディアライトにはどんな困難にもじっと耐え忍びそれがそのまま気品となって現れた本物の美しさのようなものを感じさせます。どんな困難も苦難も受け入れる力を持ち、取り乱さずに自分を保つのは簡単なことではありません。けれどユーディアライトを見ていると、辛い現実の中にあっても輝きを失わず、だからこそより美しく輝いて見えるということもあるのかもしれないと思います。