ブラジル産のファントムクォーツのルースです。
ファントムクォーツはポイント水晶でよく見られますが、薄いルースには向かないもの。
ルースカットするとこちらのようにたくさんのストライプ状になるのですね。
恐らく大きな水晶のファントム部分を贅沢にルースカットしたものと思われます。
ファントム水晶はそれ自体とても価値があるものなので、こんな風にルースカットされるのは珍しいと思います。
ファントムの内部が見れる貴重なルースです。
水晶のファントム部分はこんな風になっているのか・・・とまるで人体の内部を見るような気分です。
一つ一つのラインに薄く積もった砂のようなインクルージョンが見えます。
インクルージョンも石英です。
1mm成長するのに数年から数十年、いろんな説がある水晶の成長速度
まるで年輪のようなファントムはその時間の経過を示してくれているようです。
こちらは長方形のスクエアカット
厚みがあり鏡のようなカットです。
ファントムのラインに合わせたカットでクリアですっきりとした印象。
一ヵ所角の部分に丸い小さなくぼみがありますが、水晶表面のグリフ(模様)の名残りだと思います。
Phantome/Ghost quartz crystal
38x20x7mm
61.5cts./12.2g
Bonfim Mine, Lajes, Borborema mineral province, Rio Grande do Norte, Brazil.
水晶が成長していく過程で、地殻変動などの外的要因で一時的に成長が止まり、その上に粒子のような石英やクローライト、ヘマタイト、気泡や水などが付着し、再度成長を始めたためクリアな水晶の内部で成長途中の面影が残っているのがファントムクォーツです。ゴーストクォーツとも呼ばれます。どちらも水晶の中で幻影が浮かび上がっているように見えることから名づけられました。
一度止まったものが再び成長を始める、またその過程が記録され見ることが出来るため、スピリチュアル的な意味を与えられることが多いクォーツです。
ファントムクォーツは、ファントム部分が成長が止まった時に積もったインクルージョンで構成されています。成長過程で進んだり止まったりしているため、途中で水泡や気泡などもともとインクルージョンが多い水晶のようです。
産地のブラジルのリオグランデ・ド・ノルテ州はブラジル最東端の沿岸部にあり、パライバトルマリンで有名なパライバ州の真上に位置しています。卸元もクォーツとの情報しかなく、どうしたものやらと長い間販売できずにいましたが、同じインクルージョンのポイントが入荷してルースカットされたものと判明いたしました。ブラジルはレムリアンシードもルースやビーズの丸玉にしてしまうくらいなので、元はきれいなファントムクォーツもルースに生まれ変わったのでしょう。ルースいっぱいにファントムが入っていますので、とても大きな水晶ポイントだったのではないかと思います。誠に贅沢な話です(笑)
中々見ることが出来ないファントムの内部。ルースの面白さはただアクセサリーに出来るだけでなく、石の内部の美しさを明らかにしてくれることです。原石や鉱物標本として有名な石も果敢にカットされ驚くような美しいルースになっていたりします。こちらのファントムクォーツも階段状に積み重なったファントムのインクルージョンがとても規則的なことに驚かされます。
ファントム入りの水晶は、一度止まった水晶がまた成長を始める様子が記録されており、「再挑戦」や「停滞した状況を克服する」など頼もしいメッセージを見る人もいますが、積み重なったファントムを見ていると、「継続」や「長い時間をかけて一つ一つ築き上げる」「積み重ねる」といったメッセージ性を感じます。