内モンゴル産のドロマイト・オン・クォーツ。
レトロな雰囲気のある個性的なクォーツ・ポイント。
石灰石の一種であるドロマイトが付着していると見られます。
成分は内モンゴルでクォーツと共生している鉱物から当店の判断になります。
ドロマイトは苦汁石または白雲石とも呼ばれます。
石灰石の一種で、カルサイトのお仲間といったところ。
シニヨンやコサージュのようなお飾りを付けたフェミニンなポイント。
アンティークな雰囲気があってかわいいですよね。
こんな風に大きな鉱物がポイント剣先近くに共生しているのは珍しいです。
母岩近くの根元ならよくありますが。
珍しくて気に入ってしまいました。
まるでサンゴのようにしっかりと張り付いてます。
ドロマイトの影響で全体的にベージュ/カーキ色のコーティング。
ファセット内部は白い雲のようなインクルージョンが、後ろから見るとホワイトファントムになっています。
柱面のバーナクルなど見所があって、とても魅力的な水晶です。
Dolomite on Quartz Crystal(苦灰石付水晶)
98x28x22mm
68g
Huanggang Mine, Hexigten Banner, Chifeng City, Inner Mongolia, China
(中華人民共和国内モンゴル自治区赤峰市)
内モンゴルといえば中国国内の自治区なので、あまり目立った情報はないのですが、内モンゴル自治区の形が日本列島とよく似ていることをご存じですか?この地の一連の水晶を集めて見えて来たのは、内モンゴルの赤峰市の鉱山地帯は、ヘデンバーガイトの鉱床があるのではないか?という直感です。
ヘデンバーガイトは和名は灰鉄輝石といい、輝石グループで翡翠輝石の仲間でもあります。石灰質の変成岩や石灰岩の交代によって形成された鉱床に多く見られるため、カルサイトの影響が強いです。
中国は四川省にもアンモナイトの化石が見つかっており、古代中国大陸は海だった可能性があります。また、新疆ウイグル自治区のトルファン盆地は、中国大陸の深奥部にありながら、なぜか世界第4位の海抜の低さです。内モンゴルの水晶にはカルサイトの影響が強く見られ、海中の貝類の死骸によって形成された石灰層が形成された白亜紀にこの辺りまで海だったのではないかと思います。
内モンゴルのような内奥は、中国大陸のテチス海の最北端で浅瀬の海だったと思われます。そのため一番古い海の記憶を残している可能性もあります。アメリカ大陸の内陸部のユタ州が古生物の化石が豊富なのと同じです。
中国大陸南部まで、パンゲア大陸時代にテチス海という古代内海が広がっていましたが、内モンゴルやダルネゴルスクの辺りまで、海水は来ていたのではないかと思います。中国内陸部までアンモナイトの化石が発見されており、中国南部の平野部にまるで削られたように高低差の山々があるのは、海水の侵入による影響かと思います。海水が侵入したエリアは貝の死骸によるカルサイトを蓄積しますので、カルサイトの影響が残る鉱物が生成されたのかなと思います。内モンゴル産にカルサイトの干渉が多くみられるのは、この地までも海水が来ていたのではないかと思うのです。
内モンゴルではドロマイトだけでなく、ロードクロサイトなどカルサイトの変種がクォーツと共生しているものが多くあり、水晶の成長に様々な影響を与え、時に形が変わるほど強い干渉をしています。この地域はカルサイトの影響が強く、石灰質の土壌から生まれる水晶は「海の水晶」といった感じです。