内モンゴル産のカルサイト・イン・クォーツ。
こちらは内モンゴル産として入荷しましたが詳細がわからなかったため
詳しい産地は他の内モンゴル産クォーツを参考にしています。
カルサイトの干渉があると、水晶の透明感が一味違います。
こちらはシンギングクリスタルで、RAW現像の際に明るさを調節すると、青い光が出てきます。
内モンゴルはエンジェルラダークォーツの産地でもあり、肉眼で見えないクォーツでも青い光を持っているのかなと思います。
こちらは、コロンビアンレムリアンによく似た輝きを持つクリスタル。
透明度が高く、柱の角はナイフのように鋭利です。
コロンビアの陽の気を、陰にしたようなクォーツで、石全体からシンギングがキンキンと鳴り響きます。
お尻はカルサイトに浸食されていますが、クォーツの成長がみられ、ダブルターミネーションのETクリスタルのようです。
菱型のメインファセットを持ち、ファセットにはレコードキーパーやトライゴニックのようなはっきりとした印ではないですが、不思議な線がたくさん入っています。
柱は六角柱ですが、ファセットはタイムリンクのような小さな面に縁どられた大きな一面だけある不思議なポイントです。
密かに青い輝きを持つシンギングクリスタル。
レムリアンシードやヒマラヤ水晶のような彫刻的な美しさではないですが、特別なクリスタルだと思います。
それらのクリスタルが外側に強い光を放つのに対し、こちらのクォーツは内側に特別な青い光を持っていると思います。
Calcite in Quartz Crystal(カルサイト付水晶)
123x16x13mm
36g
Hexigten Banner, Chifeng City, Inner Mongolia, China
(中華人民共和国内モンゴル自治区赤峰市)
内モンゴルといえば中国国内の自治区なので、あまり目立った情報はないのですが、内モンゴル自治区の形が日本列島とよく似ていることをご存じですか?この地の一連の水晶を集めて見えて来たのは、内モンゴルの赤峰市の鉱山地帯は、ヘデンバーガイトの鉱床があるのではないか?という直感です。
ヘデンバーガイトは和名は灰鉄輝石といい、輝石グループで翡翠輝石の仲間でもあります。石灰質の変成岩や石灰岩の交代によって形成された鉱床に多く見られるため、カルサイトの影響が強いです。
中国は四川省にもアンモナイトの化石が見つかっており、古代中国大陸は海だった可能性があります。また、新疆ウイグル自治区のトルファン盆地は、中国大陸の深奥部にありながら、なぜか世界第4位の海抜の低さです。内モンゴルの水晶にはカルサイトの影響が強く見られ、海中の貝類の死骸によって形成された石灰層が形成された白亜紀にこの辺りまで海だったのではないかと思います。
内モンゴルのような内奥は、中国大陸のテチス海の最北端で浅瀬の海だったと思われます。そのため一番古い海の記憶を残している可能性もあります。アメリカ大陸の内陸部のユタ州が古生物の化石が豊富なのと同じです。
中国大陸南部まで、パンゲア大陸時代にテチス海という古代内海が広がっていましたが、内モンゴルやダルネゴルスクの辺りまで、海水は来ていたのではないかと思います。中国内陸部までアンモナイトの化石が発見されており、中国南部の平野部にまるで削られたように高低差の山々があるのは、海水の侵入による影響かと思います。海水が侵入したエリアは貝の死骸によるカルサイトを蓄積しますので、カルサイトの影響が残る鉱物が生成されたのかなと思います。内モンゴル産にカルサイトの干渉が多くみられるのは、この地までも海水が来ていたのではないかと思うのです。
内モンゴル産のカルサイト・イン・クォーツは、青い光を内包しているのではないかと感じます。ここはブルーのホログラムのような影を持つエンジェルラダー・クォーツの産地なので、肉眼では見えなくても現像で現れるように石自体が青い光を帯びているクォーツがあるような気がします。
コロンビア産の水晶にもパスウェイクォーツと呼ばれるブルーのミストやスモークを持つブルースモーク(ミスト)クォーツが発掘されていますが、コロンビア産のクォーツにもカルサイトの干渉があるクォーツが入荷しています。カルサイトの干渉が強いクォーツは、青みを帯びるのではないかと思います。内モンゴル産のカルサイト干渉のクォーツは、コロンビア産のクォーツに近いものがあると思います。
カルサイトの謎を追っていると、カルサイトはとても溶けやすいので、カルサイトが溶けた跡が水晶表面のグリフになっている物もあるかもしれません。カルサイトの浸食がグリフを作り、クォーツに青い光を与え、シンギングの音を奏でさせる。貝の死骸の蓄積によって生まれるカルサイト。それは古代の海テチス海の作用であり名残だと思うのです。